秩父屋台囃子振興会

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秩父夜祭と屋台囃子

毎年12月2日 (宵宮)・3日 (大祭) に行われる秩父神社の例大祭である秩父夜祭は、京都の祇園祭、飛騨の高山祭と並んで、日本三大美祭・日本三大曳山祭の1つとして有名です。
2016年にはユネスコの世界無形文化遺産に登録されました。
12月3日の大祭には、4台の屋台と2台の笠鉾の計6台の豪華絢爛な山車が秩父の市街地を曳行されます。
そして、その山車の中で打たれている太鼓が秩父屋台囃子です。
重さ最大20トンもある山車が前進するときは豪快な大太鼓が打ち鳴らされ、山車が方向転換 (ギリ廻し) するときは軽快な小太鼓の玉入れが打たれます。
山車には演奏のために15〜20人も乗り込み、山車の中の限られた狭いスペースで演奏します。
そのために座って太鼓を打ち鳴らすという、郷土芸能の太鼓の中でもめずらしい「座位打ちスタイル」が確立されたのです。
屋台囃子の演奏は、笠鉾であれば床下の土台の中、屋台であれば幕で囲まれた楽屋の中で演奏されるため、外からは太鼓を打っている姿を見ることができません。
初めて夜祭見物に来た人が「どこで太鼓を打っているのか?」と不思議がるのもそのためです。
しかし演奏風景が全く見えないからこそ、山車の中から響いてくる太鼓の音は迫力満点なのです。

 
中近
中近 (なかちか) 笠鉾
下郷
下郷 (したごう) 笠鉾
宮地
宮地 (みやじ) 屋台
     
上町
上町 (かみまち) 屋台
中町
中町 (なかまち) 屋台
本町
本町 (もとまち) 屋台
 

元来お囃子とは、屋台や笠鉾などの山車を囃し立てるのが主な目的であり、それ自体が主体性を持つものではなかった。
秩父屋台囃子は、外からは見えない場所から屋台や笠鉾を、そしてそれらを曳く曳き子たちを囃し立て、鼓舞するためのものであり、祭礼ではあくまでも脇役に徹している。
この点、川越や熊谷、佐原や八王子など、関東各地の山車祭りでは、お囃子は山車の最も目立つところに陣取り、それ自体が祭礼の主役になっているところに大きな違いがある。
秩父屋台囃子は、今なお本来のお囃子の姿を失っていないのである。
                           (参考文献/さきたま出版会「秩父夜祭」より抜粋)

 

屋台囃子の太鼓演奏

小太鼓の拍子「テケテッケ」

小太鼓 秩父屋台囃子の小太鼓の拍子 (リズム) は「テケテッケ」と打ちます。
「テケレテッケ」とも呼ばれています。
多くの和太鼓グループのように「トコトコ トコトコ」と左右交互に打つ単純な2拍子の連打ではありません。
「テ (右)・ケ (左)・テッ (右)・ケ (左)」と4打で打つ、4拍子のリズムです。
2拍子のトコトコとの違いは、テケテとケの間に「ッ」という短い「間」が入ることです。
それを続けて「テケテッケテケテッケテケテッケテケテッケ・・・」と打ちます。
とても難しそうに感じますが、これを打つにはコツがあり、それを知らずに「テケテッケ」という言葉だけを捉えて打ってしまうと、うまく打てるようになるまでにかなりの時間を要します。
秩父屋台囃子教室ではそのコツを最初からお教えしていますので、初心者の方でもすぐに慣れて「テケテッケ」が打てるようになります。
秩父屋台囃子の小太鼓の拍子は、他の郷土芸能の太鼓には類を見ない、秩父ならではのクセのある独特な拍子なのです。

大太鼓

大太鼓 大太鼓の節 (フレーズ) は、大きく分けて「大波」「小波」「ドコンドコン」「つなぎ」などから構成されています。
実際の演奏では、1人の打ち手が大波・小波を2〜3回くらい打ち、次の人へバトンタッチしていくというのが一般的なパターンです。
大太鼓は (基本となる節から大きく外れなければ) どのように打っても自由なので、打ち手はそれぞれ自分独自の屋台囃子を打ち、他人との違いを表現します。
いずれにしても、大太鼓は小太鼓の拍子「テケテッケ」にしっかり乗せて打つことが大事です。

玉入れ

玉入れ 玉入れは屋台囃子の集大成です。
玉入れはコロコロと玉を転がすように軽快に小太鼓を打ちます。
玉入れにも大太鼓と同じように「大波」や「小波」があります。
但し、打ち方は同じではありません。
玉入れにも基本となる節があり、大太鼓同様 (それを大きく外れなければ) どう打っても自由なので、打ち手によって演奏が違います。
まさに玉入れは打ち手のセンスと技のみせどころです。
実際に山車の中で打たれる玉入れは、重さ最大20トンもある山車がギリ廻しされるときに打たれますので、ギリ廻しに時間がかかった場合、1人の打ち手が10分以上打つ場合もあります。

昔の屋台囃子

団子坂秩父屋台囃子は、その素晴らしい演奏が先人たちから脈々と受け継がれてきました。
昔は「名人」とか「達人」と呼ばれる人が、各町会にゴロゴロいたそうです。
そして、そういった人たちは「聴かせる太鼓」「鳴らす太鼓」を打ったそうです。
その当時の演奏は、小太鼓の拍子もブレることなくきれいに揃っており、アップテンポの実に素晴らしい屋台囃子です。